イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。
(わあ~しかし我ながら……よく集めたよね~感心しちゃう!)

 まるで他人事のように感心する碧羽。この場につっ込み役がいないことが、非常に悔やまれた。

 無自覚にボッチボケを披露しながら、碧羽は「さあ、はじめますか!」と意気込み、腕まくりをする。

 ……腕をまくると、武装した意味がないのでは? とつっ込んでくれる相手は、当然ながらいなかった。

 手始めに、クローゼット内入口に無造作に積んでいたコミック本を、書籍をまとめるために用意していたビニール紐で束ねてゆく。

 その後も順調に作業を進め、なんとかウォークインクローゼットの床が見えるまでになる。

 まとめた本の束をクローゼットから出し、次はいよいよ本題の……クローゼット内備え付けの棚に積み上げた、無数の本の山に取り掛かった。

 彼女は身長が百六十五センチと、そこそこの背丈はあるのだが、棚に積み上げているBLタワーは、碧羽の身長の倍近くある。

 碧羽は、クローゼットの外に立てかけてある、一メートル丈のアルミ脚立を持ち込み、脚をかけて乗り上げた。その直後、マヌケな事故は起こる。
< 32 / 151 >

この作品をシェア

pagetop