イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。
ウォークインクローゼットを倉庫として使用し出したのは、去年の夏も終わりの頃だ。
はじめは順調に積み上げていった書籍たちも、行儀よくBLタワーとして、大人しく鎮座していたのだ。
だが年が明け、不快指数も最高の砌、事態は急速に悪化の道を辿ることになる。
湿気を存分に吸った書籍たちは、殊の外不安定になっていたのである。積み上げられたタワーは、ほんの少し触れただけで、大きくぐらついた。
――なにか嫌な予感がする
碧羽は咄嗟に野生の勘を発動させる。それは見事に的中するのであった。
時すでに遅く、あっと思ったときは積み上げられた書籍たちは、タロットカードの塔よろしく、碧羽めがけてがらがらと崩れ落ちてきたのである。
(うぎゃあぁぁぁ―――ッ!!)
碧羽は色気も可愛げも微塵とない、男らしい悲鳴をあげながら、脚立から足を滑らせ降りかかる書籍とともに、床に雪崩落ちたのであった。
これぞまさしくBLコミックスの呪い……などと、悠長なことを言っている場合ではない。
ぴくりとも動かない碧羽。どうやら、床に体躯をしこたまぶつけ、のびてしまったらしい。
BLコミック本に埋もれた腐女子……申し訳ないが、非常に笑える構図である。