イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。

 ウォークインクローゼットを倉庫として使用し出したのは、去年の夏も終わりの頃だ。

 はじめは順調に積み上げていった書籍たちも、行儀よくBLタワーとして、大人しく鎮座していたのだ。

 だが年が明け、不快指数も最高の砌、事態は急速に悪化の道を辿ることになる。

 湿気を存分に吸った書籍たちは、殊の外不安定になっていたのである。積み上げられたタワーは、ほんの少し触れただけで、大きくぐらついた。

――なにか嫌な予感がする

 碧羽は咄嗟に野生の勘を発動させる。それは見事に的中するのであった。

 時すでに遅く、あっと思ったときは積み上げられた書籍たちは、タロットカードの塔よろしく、碧羽めがけてがらがらと崩れ落ちてきたのである。

(うぎゃあぁぁぁ―――ッ!!)

 碧羽は色気も可愛げも微塵とない、男らしい悲鳴をあげながら、脚立から足を滑らせ降りかかる書籍とともに、床に雪崩落ちたのであった。

 これぞまさしくBLコミックスの呪い……などと、悠長なことを言っている場合ではない。

 ぴくりとも動かない碧羽。どうやら、床に体躯をしこたまぶつけ、のびてしまったらしい。

 BLコミック本に埋もれた腐女子……申し訳ないが、非常に笑える構図である。
< 33 / 151 >

この作品をシェア

pagetop