イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。
部屋の外で足音が聞こえる。ランダムに聞こえる足音はふたつ――どうやら、廊下を歩く者はふたり……
「ん――ッ! こ……わだじは…ここに……はやぐ……だずけ」
緊急事態だ! もう泥棒でもいい――
胸が圧迫されて、だんだんと息苦しくなってきた碧羽は、冗談ではなく生命の危機を感じて焦りまくる。
泥棒にエマージェンシーを訴えかけるなど、聞いたことがないが……この状況である、彼女の気持ちは分からなくもなかった。
廊下で家探しをするふたつの足音が、部屋のドアのまえで止まる。
『ここじゃない? なかで声がする』
『碧羽? いるのか?』
コンコンとドアが二度ノックされたあと、ふたつの足音が部屋に入ってきた。
「おねが……だずげ……」
「碧羽? なんだその声――どこだ! どこにいる!?」
「漸! あそこ――」
ふたつの足音が、碧羽のいるウォークインクローゼットに近づいてくる。
でもこの声……どこかで? 碧羽は己の存在を主張するために、うんうんと唸りながらも、外で聞こえるふたつの声に懐かしさを感じた。
「碧羽? ここにいるの?」
「碧――……って、おまえいったい……なにやってんだ?」
「んぅ―――ッ!!」