イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。

「……ごめん……もう……だい、じょぶだから…ふふッ」

 凛は碧羽に詫びを口にしながらも、未だに笑いの坩堝(るつぼ)にハマったままだ。

「凜のことはほっとけ。それより碧羽、どうしておまえは本と戯れていたんだ?」

 凛を横目に漸はため息ひとつ落とすと、碧羽に向き直り事の顛末を求める。

「……そう見える? 苦しい思いしてまで、わたしが本と戯れてたと?」

「違うのか?」

――違います! どんな思考しているの? あなた。

 碧羽は心のなかで、思い切りそうシャウトした。だが助けられた手前、強気に出られない。非常に悔しかった。

「うん、違うよ。……あのね? わたし、本の整理してたんだ――」

 碧羽は、蟻地獄のような先ほどの姿になるまでの経緯を、漸だけに順を追って端的に説明した。

「なるほど……それで『アレ』になった訳か……ふむ。……ばかだろ」

「ッてひどい! わたしだって、あんなことになるとは思わなかったんだもん!!」

「いや、思えよ。チビのくせに、無謀なことするからだ」

「チビ!? そんな背低くないよ――ッ!」

「男を頼らず、女だけでなんとかしよーとするからだ。どうして俺たちを頼らなかった?」

「どうしてって……」

 そんなこと頼れるはずがない。

 だいたいふたりは今日まで、碧羽から距離を置いていたのだ。宣言までされた手前、そう簡単にふたりを頼る訳にはいかないではないか。
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