イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。

 碧羽は言葉にはできない、悶々とした葛藤が心のなかで渦巻くのを、なんとかして消化しようと必死である。

 それにしても、ふたりはいったいどうしてここへ? 碧羽はふと疑問に思う。ドアの鍵はかけ忘れていたみたいなので、家に入って来られたのは分かるが……

 けれど今まで碧羽を避けていたのに……ふたりの考えがまるで分からない碧羽であった。

「なんか色々と考えているようだな。碧羽が何を考えているかなんて、手に取るように分かるぞ」

 つらつらと考え込む碧羽を認め、漸がそう指摘する。

「ひとを単純思考みたいに言わないでよ!」

「ううん、碧羽は単純だよ。単純で素直で、そこが可愛いんだ♪」

 碧羽の憤懣遣る方ない託言(かごと)と重なるように、凛が失礼なうえにウザい褒め言葉を口にする。

「……おまえ、やっと坩堝から復活したのか」

「ふふ。まあね」

 目のまえで繰り広げられる、己に対して双子の失礼千万な言葉の数々……碧羽は、もうどこからつっ込んでいいのか、考えがまとまらなかった。

 その結果、遠い目をしておく事で決着がつく。

「碧羽。力仕事なら、どうして僕たちを呼ばないの。碧哉さんは留守なんだろ?」

「そうだけど……だって……」

 凛の科白に対して、碧羽はどう返していいのか困惑する。距離を置かれた相手に対し、どの面下げて手伝いを乞えばいいと言うのか。

「凜――まずは俺たちが、碧羽に逢いに来た訳を話すほうが先だ」

 真面目な顔した鉄面皮……いやいや、漸が凛にそう促す。

「そっか! じゃあね、じゃあね、聞いて? 僕たちね、解禁したんだ♪ 碧羽と距離を置くの。だからこれからは、いつでも一緒にいられるんだよ♪」

「……まあ、そういうことだ」

 あまりにもチャラい凛の説明に、苦虫を十粒噛み潰したような口ぶりで、漸が同意する。
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