イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。

 碧哉(あおや)とは、碧羽の父である。因みに、母の名は揚羽(あげは)。

 ふたりの名を表したこの名前が、碧羽はとても気に入っている。

 凛が父のことを『碧哉さん』と呼ぶのは、いずれ『お義父さん』と呼ぶ日が来ることを踏まえてのこと……らしい。漸もまた然り。

 そんなマセた双子が碧羽に、突然『解禁』という。勝手に距離を置いて、今度はそれを返上するとは、なんと勝手なドッペルゲンガーズか。

 碧羽はこの五年、双子に距離を置かれてこの上なく寂しい思いをした。

 実際のところ、なぜそんなことをするのか、碧羽は理解できていない。双子の言うことなので、それに従ったまでなのだ。

 この一年で、やっとひとりでも生きてゆける術を見つけたのだ。……その術で、先ほどは生命の危機に侵されかけたのだが。

 とはいえ、今更己のペースを崩されたくはない碧羽は、双子に対し大いに不満を覚える。

「別に解禁しなくていいよ。わたしはひとりでも寂しくないもの」

「え~なにソレ~! 僕たちと一緒にいたくないの?」

「うん」

「!?……ッッッうわ―――んッ! 漸~! 碧羽ったら、いつの間にかヒドいこと言っちゃう子になってるよ~!?」

「耳もとで喚くな!……碧羽、俺たちはまた、おまえのそばにいたいんだ。……駄目か?」
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