イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。

 自室に戻った碧羽は、言われた通りにベッドへと横になった。

 面と向かっては素直になれないが、諭されたことには素直に従う、非常に可愛い碧羽である。
 
「ふう……」

 伸びをして天井を眺めると、自然とため息が零れた。

 やはり知らずと、身体は負担を感じていたのであろうか。ふたりの言葉に甘えたのは、正解だったかも知れない。

 碧羽は大きな瞳を閉じ、心のなかで凜と漸にお礼を言う。
 
「でも……やっぱ凜と漸って、海くんと陸くんに似てるんだよね……ふふふ」

 腐の付く脳内フィルター発動である。

 碧羽は不気味にほくそ笑み、腐にまみれた科白を紡ぐ。現在彼女の脳内は、放送禁止スレスレの危ない妄想で満開である。そっとしておいた方が良さそうだ。

 壁伝いに、双子がウォークインクローゼットの大掃除に、奮闘しているのが聞こえる。

 BLライブラリーを後にするまえ、碧羽はクローゼット内の書籍はすべて処分する旨を、ふたりに伝えて来た。が……

 よくよく考えてみると、あの部屋にある、すべての書籍はBL……碧羽の意識が現実に戻される。

(や―――ッ! ふたりにわたしの趣味がバレちゃった―――ッ!!)

 ひとりベッドのうえで悶える碧羽。

 腐女子ということが、幼馴染の男の子に知られてしまったことに、羞恥以上の恥辱を感じてダメージを受ける。

 穴があれば飛び込みたい。なくても自力で掘ってやる!

 ある意味、裸を見られるよりも恥ずかしい碧羽。だがすでに、碧羽が腐女子であることなど、双子は調査済みである。

 とうに知られていたなどとは、知る由もない碧羽であった。
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