イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。
一方こちらは、不純極まりのない双子の作業風景。
彼らが碧羽に対し、こうも優しく接するのは、幼馴染だからという理由もあるが……最も重要な理由、それは……下心である。
ひとも其々、十人十色と言うが、古今東西変わらぬもの――海を渡り陸を這い、万国共通等しく男に備わっているもの、それは……やはり下心であった。
「ねえねえ漸、碧羽寝ちゃったかなあ。ちょっと部屋覗いてみない?」
「馬鹿! これ以上ポイント下げんな。俺たちの信頼度は底辺なんだぞ」
「う~ん……予定外だよねえ。まさか碧羽が僕たちを拒むなんてさ~さり気にショック受けちゃった。まあ、すぐ僕のトリコにする予定だけどね。ふふ♪」
「うっせ! それは俺の台詞だ。つかサボッてねえで、手動かせよ」
「はーい。……わッ! 碧羽ったら、すっごいの読んでるね。見て見て、〇〇〇しちゃってる! ほら」
「見せんな! 馬鹿」
飄然とした凜と、毅然とした漸の仲の良さは、本日も良好であった。
ふたりの掛け合いは、羨ましくもあり馬鹿馬鹿しくもある。この双子のなかに入ってゆける女子は、この五年ひとりとていなかった。ただひとり、碧羽を除いて。
彼らにとって、彼女の存在だけが、生まれたときから変わらず特別なのである。