イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。

 窓の外は、すっかりと日も暮れて、空は茜色に染まっている。

 蛙の鳴き声とともに子供たちは帰途へ就き、ベッドに横になっていた碧羽は目を覚ました。

「ん……わたし……寝ちゃってたんだ」

 夢現とまぶたを瞬かせながら、碧羽はゆっくりと上肢を起こす。まだ微睡から抜けきれない彼女は、思考がうまく働かずに再度ベッドへと突っ伏した。

『碧羽、大掃除終わったよ。碧羽? まだ寝てるのかな……入るよ』

(え? 入るって……その声は……凜?)

――どうして凜がいるの?

 ドアのノックととにも、凜が碧羽に声をかける。碧羽は凜がなぜ家にいて、己に話しかけているのか理解できず、ベッドに突っ伏したまま地味にパニックを起こす。

 碧羽は寝惚けているのではなく、単にボケていたのであった。きっと脳の処理能力は、底辺を這いずっているに違いない。

 そうこうしているうちに、ドアは開かれ凜が部屋へと入ってくる。ほどなくして漸も現れる。

「寝てたんだ。起こしちゃった? ごめんね」

「……ううん、起きてた。でもどうして凜が……あッ!」

 そこまで口にして、事の顛末を思い出した碧羽。天然にも程があった。彼女のために、汚クローゼットを片付けたふたりが――主に漸が――哀れであった。
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