イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。
「……ねえ碧羽。もしかしてさ、僕たちの存在を忘れてた?」
「…………」
問責を含む凜の科白より、沈黙を以て意に介する漸のほうが、よっぽど迫力がある。
すっかりふたりの存在を忘れていた碧羽は、並みならぬ罪悪感を覚える。しかも書籍整理を肩代わりしてくれたことすら、綺麗さっぱりと忘れていたのである。
「……ごめん、ね?」
えへへと笑って、地味にスルーを決め込もうとする碧羽。……だが無理であった。
「笑って誤魔化してもダメだよ? 僕たちを忘れてたんだね? そうでしょ?」
「仰るとおりです。……ごめんなさい」
疑問符づかいの三段活用は止めてくれ! と、碧羽は心のなかでシャウトする。
「やっぱりね。僕たち頑張ったんだよ? あの汚……散乱したクローゼットを。もう少し優しくしてくれてもいいと思うな~ねえ、どう思う? 碧羽」
「うぅ……ごめんなさい。ベッドで横になっていたら、知らないうちに眠っちゃってたの。起きたら窓の外は夕暮れになってるし、記憶があやふやになってて……どうしたら許してくれる?」
「僕らと仲良くすること!「」俺らとまた仲良くしろ!」
双子が仲良くこだました。