イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。
碧羽が幼かった頃は、ハウスキーパーも夜まで詰めてくれてはいたものの、碧羽ももう十七歳だ。
現在は、朝のうちに碧羽の身の回りの世話や、食事の用意などを済ませ、昼過ぎには家をあとにするという、ルーティーンワークが主である。
毎日通ってくれていたハウスキーパーも、碧羽が中等部へ上がる頃には、日曜日は暇(いとま)を取るようになったので、この広い家で碧羽が人と会話をするのは、朝の一コマだけである。
そんな孤独な時間を過ごすのも、もう五年近くになる。
* * *
すっかりと、ひとりに慣れてしまった碧羽は、最近ではボッチ読書が趣味という、枯れた女子高生ライフを送っている次第である。
だが一括りに読書といっても、ジャンルは多種多様であり、当然ながら碧羽も文学少女ばりの愛読嗜好の持ち主である。
そんな彼女が高等部へとあがり、少ししてからのこと。
下校途中、いつものように通いつけの書店に立ち寄り、そこで出逢った一冊のコミック本。
ワイド版の装丁に描かれた、巧緻かつ艶やかなタッチで表現されたイラスト。
麗しきふたりの美少年が花を背負い、仲睦まじく友情を示したかのような描写に、碧羽の心は大いに鷲掴まれた。