イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。

 ふたりは碧羽を愛しそうに見つめ、上気した頬を笑みに崩した。

 しかし背筋が凍る、この一抹の嫌な予感はいったい……そこまで考えて、凜と漸は己自身を叱咤する。

 純なる心で彼女を見つめることの出来ない、自身の心のなんたる浅ましさ。

 ふたりは心のなかで、碧羽に「ごめん」と謝った。……だがふたりの感じる予感は、野生の勘を以て的中していたのであった。

「……そうね。今日は帰ったらやることもあるし……パラダイス(腐関連店舗)には、また次回行くことにして、じゃあ帰りましょうか」

「パラダイス? それって……いったいな――」

「凜やめとけッ! 聞くな……ヤバい気がする」

「ウィ!」

 漸の嗅覚に助けられた凜は、力づよく首肯した。ふたりはサムズアップで意思の疎通を図る。

「ふたりとも。帰ったらわたし料理するから、一緒にランチしよ?」

「「よろこんでッ!!」」

 ふたりは碧羽の科白に、勇んでユニゾンしたのであった。

 * * *

「こんな感じでいいの? なんか変じゃない? だいたい普通、こんなポーズなんて取らないよ? BLってほんとカオスだよね」

「おい凜、おまえ変なとこ触んなよッ! てかもっと離れろ」 

「それこそ無理。こんなポーズしてて、どうしたら距離取れるの? バカじゃないの?」
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