イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。
 まるでストーカー紛いの発言を、堂々と言い放つ凜。碧羽は驚いている。

「え……そうだったんだ。一応はわたしのこと、気にかけてくれたんだね。……おどろき」

 だがしかしだ、驚きどころが違う碧羽であった。

「そりゃそうだよ。離れていてもね、僕はずっと碧羽のことを考えてたんだもの」

「俺も碧羽のこと、考えない日はなかったぞ」

 凜のクサい科白に張り合う漸。存在が薄くて、忘れかけていたとは、口が裂けても言ってはなるまい。

「その割には、わたしと距離をとってたんだよね?……変なの」

 碧羽が男の純情を一刀両断にする。凜と漸は、其々に決め台詞で攻めたつもりであったが、碧羽の一太刀ですべてが台無しとなった。


 帰途に就く途中、食材を仕入れにスーパーマーケットに立ち寄った。因みに店の名は『スーパー寄ってけ』である。

 碧羽は食材をキッチンへと運びに向かい、双子は利口にダイニングに向かい、テーブルへとおすわりする。

 とはいっても、碧羽の家のキッチンは、アイランド式のキッチンだ。

 テーブルに着きながら、凜と漸は碧羽の可憐なエプロン姿を拝めるという、男のパラダイス的な構図が出来上がっていた。
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