イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。
「ふふふ♪ やっぱり僕の碧羽はかわいいよね。エプロンが似合ってる」
「ああ゛!? なんでおまえのなんだよ。まだ碧羽は誰のモンでもねえだろ」
「いまはね。でも遅かれ早かれ、僕の彼女になるんだから、一緒でしょ?」
「抜かせッ! 碧羽は俺が彼女にするんだ。おまえの女じゃねえ!」
好き勝手に言い放題の双子。そうとは知らずに、昼食の準備に取りかかっている碧羽が、キッチンから顔を出して、漸に『メッ!』をする。
「どうしたの? おおきな声だして。漸、けんかしちゃダメだよ」
「してねえよ! てか、なんで俺だけが怒られるんだよ」
「日頃の行いが悪いからじゃない?」
ただしくは、凜に貧乏くじを引かされていると言ったほうが正解であった。
「フザけろよッ! つか素行の悪さは、凜のが上だろ?」
「……ひどい誤解だよね、それ。僕は身も心も碧羽に捧げるんだもの、そんな足のつく馬鹿やるわけないじゃない」
「……いや、そこは否定しろよ。認めてどうすんだ」
尤もであった。
「ふたりとも、なかよしだね。なんだか、むかしに戻ったみたい」
どこをどう取ると、碧羽には双子が仲良くしていると見えるのか。……腐フィルターを透すとそう見えるのか?
「「それ、ぜったい違うからッ!!」」
と、怒られる地の文の作者であった。