イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。

 いや、ひと目惚れといっても過言ではないだろう。それほどに、碧羽にとってインパクトがあったのだ。

 あらすじなど確かめず、所謂ジャケ買いをした碧羽。逸る気持ちを落ち着かせ、わき目も振らずに一目散と家路に就いた。

 帰り着くなり、自室に飛び込む碧羽。先ほど収穫した、婀娜やかな色気を振り撒くお耽美本を、早く読みたくて仕方がないのだ。

 制服から私服へと着替える時間も惜しみ、ソファへと腰掛けた碧羽は、書店の袋からコミックス本を取り出した。

 先ずは一頁。とびら絵も鮮やかな、美しい男子たちの絵が描かれていた。碧羽の心がキュンと甘く高鳴った。

 その後も一頁、また一頁と読み進めてゆく碧羽。と、おもむろに、頁をめくる手が止まる。

(あれ? 何これ。……少女漫画だよ、ね。でも何だか変だな)

 漠然とした、よく分からない感覚。今まで読んだ、どの少女コミックスとも違う、斬新な切込み、真新しい表現力。

 碧羽は、『これは当たりかも! 新鮮な感じがする』と、心ときめかせた。ウキウキとしながら、次の頁をめくる。

「!? !? !?」

 目が釘付けになった。

 めくった頁で見たもの――それは見開きにわたり、主人公の男の子が、親友の男の子にキスをしている場面であった。 
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