イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。

 一見すると、無敵に見える彼らではあるが、そんな彼らにも弱点があった。

 弱点とは他でもない、碧羽ご当人である。ムカつくフェミニストも、ウザいハードボイルドも、碧羽を目にするだけで一瞬にして崩れ去ってしまう。

 学園内で和気あいあいと、女子との歓談の場を設けていても、碧羽のすがたを認めた途端に脂下がる学園の王子など、女子としてはおもしろくない。

 しかも、ふたりの目を奪う意中の君が、『あの』碧羽であるのだ。女子たちのプライドは、木端微塵であった。

 彼らとは真剣に恋などできるはずはない。そばにいられるだけで良いのだ。そう学園の女子たちが、無理やり納得するまでに要した時間は、果てしない歳月であった。

 だがこれで、碧羽が集中的に殺意の的として、つるし上げられることもないだろう。

 女子たちも納得し、碧羽は無地の壁紙が如く、周囲から気にも留められない存在までに成り下がった。

 永きにわたる、無駄な日々もこれにて終了だ。今後は誰に気兼ねすることもなく、彼女のそばにいられるのだ。

 彼らは碧羽を彼女にするという、崇高なる野望を果たせることに歓喜するのであった。
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