イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。
「ねえ……僕さ、平常心を保つの、ひどく疲れるんだけど」
「……俺もだ」
香りいっぱい、胸いっぱい。彼らは今、様々なものと闘っている。
「碧羽の部屋って、こんなだったっけ? さいごに入ったのって、もう五年もまえでしょ。やっぱり年頃の女子の部屋って感じするね♪」
「……てめえはオヤジかよ。むっつりな発言してんじゃねえ」
「え~? 素直な感想なんだけどなあ~」
だからオヤジなのだ。天性のオヤジ発言に胸を張ることができる凜は、ある意味では眩しい存在であった。
彼らが碧羽の部屋でソワソワとしだした。座っているのはもう十分だ、そろそろ部屋でも物色しようかと、虎視眈々ようすをうかがう。
そこへ双子の邪なスケベ心を見透かすかのように、碧羽が自室へと戻ってきた。
「ごめんね、待った? 紅茶淹れるのに手間取っちゃって」
「いいよ、気にしないで。ありがとう。わるいね、気を使わせちゃって。重かったろ?」
「ううん、そんなことないよ。久しぶりに凜が遊びに来てくれたんだもの。お礼を言うのは、わたしのほう」
「ふふふ。そんな可愛いこと言っちゃうと、知らないよ?」
「なにを?」
「……おい、誰か忘れてねえか? ふたりで世界作ってんじゃねえよ」