イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。

「ねえ碧羽? ちょっと怖いよね……それ。少し落ち着こう。ね?」

「MAXに怖えぇーよッ!!」

 凛が碧羽の背中をさすりながら、ドゥドゥと宥める。なぜ怖れられているのか分からない彼女は、不可思議に顔を曇らせながら、盛大に頭上を疑問符で埋め尽くした。

「なぜ、わたしが怖いの?」

「目ぇイッてんだよッ! 血走ってるぞ!!」

「血走ってるね。ふふふ、僕らよりよっぽど、碧羽のほうがケダモノみたいだよ? 可愛い♪」

「可愛い!? 目ぇ腐ってんのかッ!!」

 恋は盲目という……女を愛し抜く男は、身を滅ぼすのであった。

 凜はたとえ碧羽に足蹴にされようとも、其れすら幸せを見出すのであろう。怖ろしいほどのマゾヒズムであった。

「う~ん、当たらずと雖(いえど)も遠からず?」

「わあ、凜てむずかしい言葉知ってるんだね。かしこいね」

「ふふふ。惚れなおした?」

「うん、惚れなおした」

「だから、俺を無視してんじゃね―――ッ!」

――そしてまた、ふりだしに戻るのであった。
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