イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。
「――じゃあね、凜は漸のうえに乗りかかって?……そう、脚のあいだに……うん、跨って」
なにやら怪しい匂いがプンプン漂っている。
碧羽たちは、いったいなにをしているのであろうか。……樹海の入り口は、すぐそこか。
「だから、やめろっつの! ンなとこ触ってんじゃねえ。キメーんだよッ!」
「僕だって気持ち悪いの我慢してるんだから、漸もちょっとくらい我慢したら? だいたいね、これは碧羽の指示だよ? 命令に背く気?」
「ぐッ……は、はやくしろよッ」
「だって。碧羽、つぎはどうしたら良いの?」
「うん、えっとね……じゃあ、こんどは漸が凜の腰に腕を――」
もうお分かりであろうか。そうなのだ。碧羽は彼らをつかって、リアルBLを再現する気なのである。
碧羽の愛読書であるBLコミックスの原作者、『蒼生 ちはや』が連載している漫画の登場人物に、凜と漸はそっくりなのだ。それこそ瓜二つと言っても過言ではない。
タイトルは『月と太陽のプレリュード』。
舞台は空想上の街と学園として位置づけられてはいるが、作者は翡翠ヶ丘の出身である。十中八九、翡翠ヶ丘学園の生徒をモチーフとしていることがうかがえた。