イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。

 ふたりは自宅から徒歩で繁華街を抜け、学園都市のほど近くにある広場へとやって来た。

「わあッ! すごいね。町が見渡せるんだ~いい眺め」

「でしょ。僕ねえ、この場所好きなんだ。碧羽ともいっしょに来たくって、今日は誘ったんだ。碧羽にこの眺めを見せたくて。ふふふ、気に入ってくれたかな」

「うん! ありがとう。わたし、学園の近くにこんな場所があるなんて知らなかった。今日は誘ってくれて、ほんとうにありがとう♪」

「よかった。じゃあ、シート引いちゃおっか」

「はーい」

(ふふふ。ほんと、かわいいよね)

 無邪気に挙手しながら返事をする、愛くるしい碧羽にうっとり見惚れる凜である。

 広場には大きなクヌギの木が隆々と枝葉を伸ばし、心地の良い日陰を作っている。

 凜は肩から下げていたトートバッグから、シェニール織のラグシートを取り出して地面へと引いた。

「あ~お腹すいた。さっそく碧羽の作ってくれたお弁当、食べたいな」

「うん、わたしもお腹すいた。いま用意するね」

 碧羽は籐のバスケットから、今朝作った数々の料理を取り出す。
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