イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。
「ほんとうにごめんね? 凛」
「ふふふ、だいじょうぶだよ。碧羽がくれるものなら、痛みだって僕は幸せ感じちゃうよ。それにね、これって怪我の功名だから」
「え、こう……みょう? どういう意味?」
「ううん、なんでもないよ。あ、首すじも撫でてくれる?」
「うん」
(ん~気持ちいい~♪ 碧羽の太もも、柔らかくて良い匂いがする♪)
――外道と変態は紙一重であった。
凛は碧羽の腰に手をまわして、頬をすりよせ幸せを噛みしめた。
もうこれで死んでしまっても本望だと、スケベオヤジ丸出しの凜は、碧羽の膝のうえで胸いっぱい深呼吸する。
「じゃあ望みどおり、地獄に送り返してやろーじゃねえか……」
暗黒のオーラを解き放ち、阿修羅と化した漸がいつの間にか、碧羽たちのまえへと仁王立ちしていた。……漸の放つ邪気に中てられ、足元の芝生が枯れ込んでゆく。
「え……あれ。漸……いつの間に。あは、やだなあ……僕の心の声、読まないでよ」
上気した凜の頬が一気に蒼然となる。そういえば漸も居たんだったと、己の浅慮に少なからず焦りを感じる凜であった。
「碧羽……退いてろ。今から俺は、この腐れ悪魔を退治しなきゃなんねーんだ」
「え、わッ!?」
碧羽が凜の頭から手を離した隙に、漸は凜の胸倉を掴んで引っ張りあげた。そのまま凜を掴んだ状態で、ズルズルと碧羽から距離を取る。