イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。
act.2 Before and After ―美醜一体? それって詐欺でしょ―
『碧羽ちゃん、また男子に色目使ったんだってー! ちょっと可愛いからって、調子にノリすぎなんじゃない?』
『男子もバカだよね。あの子なんか、ただちょっと顔がイイだけで、なんの取り得もないのにさ』
『知ってる? 碧羽ちゃんのお父さん、家に帰って来ないんだって。それで、お母さん死んじゃったんだって』
『え~何ソレ~。誰から聞いたの~?』
『三組の子が話してるのを、聞いたって子がいたらしくてさ――……』
(勝手なことばかり言わないでよ……もう、わたしのことは放っておいて……)
――いつもの天井だ
また、この夢みてたんだ……最近は見てなかったんだけどな。
耳鳴りがしてきそうなほど静まり返った部屋。
ベッドで寝返りをうつ度にあがる、シーツの衣擦れの音だけが、やけに部屋に木霊する。
夜の帳にひとり、カーテンの隙間から零れる月明かりだけが、無味なる心に灯をともしてくれると錯覚をする。
もう何年になるのだろう。この広い家でひとり、孤独を感じることなく生活するようになったのは……
泪に濡れた瞳で、碧羽は見慣れた天井を見上げる。