イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。
「幼馴染ですか。ふふふ、そういうことにしておきましょうか。素敵な幼馴染さんですね。
私もこの店で長く働いていますが、彼女……幼馴染のヘアスタイルを、事細かに指定していかれる男性にお会いしたのは、はじめてです」
ヘアスタイル雑誌のなかから、凜が選んだ選り抜きのヘアスタイル。
小作りな碧羽の顔を引き立たせる、フェミニンな女の子らしいスタイルであった。……まさにクソでキザなフェミニストが選びそうなチョイスである。
繁華街を歩き、馴染みのカフェからほど近くにあるヘアサロン。
ココは凜がまえから目を付けていた一押しの店だそうで、碧羽をビフォーアフターさせるならココだと決めていたのだ。
「凜は……あ、さっきの男の子なんですが、むかしから私の世話をしてくれてて……今日の服装とか、ぜんぶ彼が用意してくれたり」
「まあ。すてきな彼ね。じゃあ、期待に応えなくちゃ! はじめちゃいますね」
「おねがいします」
はたして碧羽の、プリティープリンセス・ストーリーのはじまりである。