イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。

「なら後で食わせてやりゃいいじゃねえか。買いに行くほどか?」

「ふふふ……甘いねえ、漸は。だから彼女と長つづきしないんだよ。いい? これは碧羽へのプレゼントだよ? よろこぶ彼女の顔が見たいじゃない。

女の子はリボンのついた、可愛くラッピングされたものが好きなんだよ」

「…………聞いてくる」

 凛の一声で重い腰を上げる漸少年であった。

「ふふふ。ほんと、漸はチョロいねえ」

 優雅な手つきでティーカップを持つ凛が、紅茶をすすりながら悪魔なことを口にする。

「さあ、碧羽のカットが終わったら、つぎは服を……そうだ!」

 ひとりごちながら、スケジュールをおさらいしていた凜であるが、なにやら思い立った様子でポケットからスマートフォンを取り出した。

 場所を移動し、どこかに通話しているようである。おっとりとした口調で、慇懃に物申すすがたは、怜悧な若手企業家といった風体を醸し出している。

 凛然とした態度で、凛がてきぱきと受話口に向けてなにか指示をしている。……言っておくが、ダジャレではない。
< 86 / 151 >

この作品をシェア

pagetop