イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。
満足の得られる通話が出来たのだろう。
凛はミニデビルな笑顔を湛え、ソファへと戻ってきた。ほどなくして漸も戻る。彼の手には、なにやら物(ブツ)が……
「ねえ、漸……それ、なに?」
「おお、コレか……さっき、受付の店員にもらった」
「……その受付のひとって、女の人でしょう?」
「ああ」
「……」
ジットリとした目で漸を見る悪魔。
「…………あの、訂正してもらっていいかな?」
もとい、凛である。
(鉄面皮な愛想なしのクセに、なんでか女ウケはいいんだよね……)
凛は漸の顔を見ながら『コレって、もう学園七不思議だよね』などと、失礼千万なことを堂々と考えた。
ふたりの目が合い、双子の神秘電波を感じ取った漸は、途端に渋面になる。
「おまえ今……怖ろしく失礼なこと考えてるだろ」
「ううん?」
ウソである。
「コレは、どこで売ってるのか聞いたら、まだ沢山あるからってくれたんだ。べつに俺は、なんもしてねえぞ」
「だから、僕は漸を侮蔑(ぶべつ)の目でなんて見てないって。ね、信じて?」
「…………」
小首を傾げながら笑顔で言ってのける凛。胡散臭いアルカイックスマイルを以って、彼はメンタリストでさえ騙しとおすのであった。