イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。
「――斯々然々(かくかくしかじか)のね……」
「……おう」
「斯う斯う(かようかよう)だから……――」
「はあ!? んだよ、ソレ……」
「異議は受けつけないよ。わかった? 漸。使えるものは、親のコネでもなんでも使うよ。僕らのお小遣いじゃ、たかが知れてるし……碧羽を最高のお姫さまにしてあげるんだから、がんばって働いてね」
「……チッ、わーったよ!」
「ふふふ、いい子。一肌でも諸肌(もろはだ)でも脱いで、しっかりと頑張るんだよ♪」
「ああ゛ッ!? てめえも脱げよ! なにが『しっかりと』だ、他人事みたく言ってんじゃねえッ!」
漸に鋭くつっ込まれた凛は、「あはは~やっぱり~?」と言うなり明後日のほうへと視線を逃がした。
「まったく……おまえだけは――」
「あのう……」
「「?」」
凛に対する漸のお小言を遮るようにして、澄んだ女性の声が重なった。ふたりは同時に顔を上げ、声の主を窺い見る。
「……なんか用すか?」
「あッ、は、はい。いえ、その……」
漸が女性に対し愛想のない応答をすると、ふたりのまえに立つ女性はあからさまにモジモジし出した。しきりに凛の顔を見ては頬を染め、なにか言いたそうだ。