イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。

「――斯々然々(かくかくしかじか)のね……」

「……おう」

「斯う斯う(かようかよう)だから……――」

「はあ!? んだよ、ソレ……」

「異議は受けつけないよ。わかった? 漸。使えるものは、親のコネでもなんでも使うよ。僕らのお小遣いじゃ、たかが知れてるし……碧羽を最高のお姫さまにしてあげるんだから、がんばって働いてね」

「……チッ、わーったよ!」

「ふふふ、いい子。一肌でも諸肌(もろはだ)でも脱いで、しっかりと頑張るんだよ♪」

「ああ゛ッ!? てめえも脱げよ! なにが『しっかりと』だ、他人事みたく言ってんじゃねえッ!」

 漸に鋭くつっ込まれた凛は、「あはは~やっぱり~?」と言うなり明後日のほうへと視線を逃がした。

「まったく……おまえだけは――」

「あのう……」

「「?」」

 凛に対する漸のお小言を遮るようにして、澄んだ女性の声が重なった。ふたりは同時に顔を上げ、声の主を窺い見る。

「……なんか用すか?」

「あッ、は、はい。いえ、その……」

 漸が女性に対し愛想のない応答をすると、ふたりのまえに立つ女性はあからさまにモジモジし出した。しきりに凛の顔を見ては頬を染め、なにか言いたそうだ。
< 89 / 151 >

この作品をシェア

pagetop