イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。

「こら! もう……漸ったら。女の子にそんな無愛想な態度なんか取っちゃ、かわいそうでしょ。まったく……だから漸はすぐにフラれちゃうんだよ」

「うっせ! 今ンなことカンケーねえだろ」

 ほんとうに関係がなかった。

「漸はちょっと黙ってな。それで、きみは……えっと、僕たちになにか用かな? ごめんね、僕の弟は愛想がないから、怖がらせちゃったかな?」

「ああ゛」

「い、いえ……ごめんなさい、そうじゃないんです。私、その……あッ! ごめんなさい、私ったら名乗りもしないで。

私『蓮見 カンナ(はすみ かんな)』っていいます。その……由梨子の友達で」

「え……――そう、由梨子の友達だったんだ。それは奇遇だね。それで、蓮見さん。僕たちに用事かな?」

 明らかに声のトーンが変わる凛であった。

 その隣で、漸も心なしか顔つきが固くなっている。蓮見と名乗るこの少女。澄んだ声の主であるこの少女が言う、由梨子とは……

「凛……くん。凛くんは由梨子とは別れたんだよね? 由梨子ははぐらかして教えてくれないけど、由梨子もうずっと放課後凛くんと一緒に帰ったりしてないし、それに……みんな噂してるし」

「噂って? どんな噂が流れてるのかな? よかったら僕におしえてくれない?」
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