離婚前提策略婚。─続編─【改訂版】
「おら、着いたぞ」

「え?」


龍成の声で窓の外を見ると、わたしの家に着いていた。


「なにぼーっとしてたんだよ。俺といるのに考え事か?」

「あ…」


もう着いたんだ。早いな。


「随分だな。こんな男前が一緒にいるってのに」


あんたのことだよ。…とは言えない。


「てか、わたしの家に着いちゃってるけど、龍成はどうするの?」

「タクシー拾って帰る」

「え?わたし送っていったのに。あ、今から送るよ」

「もう遅いからいい。お前は早く家に入れ」

「大丈夫だよ車だし」

「だめだ。無駄に心配させるな。お前のせいでマジでハゲたらどうしてくれる」


…心配はしてくれるんだ。
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