離婚前提策略婚。─続編─【改訂版】
華乃の後ろの窓に映る俺は、なんとも言えない情けない顔をしていた。

ただ盛って欲にまみれているような、馬鹿な男の顔。


…何やってんだ俺。

自分で決めたことすら守れずに、これからどうやって華乃を守っていくんだ。

どうやって幸せにするって言うんだ。


ガラス越しに自分の顔を見ているうちに、だんだんと気持ちが落ち着き、飛んでいった理性が戻ってきた。


もう少しで華乃が俺だけのものになるんだ。

もう少し、もう少しだけ耐えろ俺。


今俺が仕事どころじゃなくなったら、結婚すらできなくなるんだから。


「…まだだめだ」


ぎゅっと目を閉じて、華乃から手を離した。


シートにもたれドア側に顔を背け頬杖をつく。

この情けない顔が華乃にばれませんようにと強く思いながら。
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