離婚前提策略婚。─続編─【改訂版】
「ね、もういい加減準備して行こうよ。手続きは時間かかるし、銀行早く終わっちゃうし」

「おい、卑怯者」

「今日中に全部は無理かな」

「おい、ばかの」

「──んもう、わかったよ!」


あまりのしつこさに、半ばやけくそで龍成の唇にキスをすると、すぐさま龍成の手はわたしの後頭部を掴み、唇を離そうとしたのに離れるどころかより深いキスをされる。


離れようとしても、離してくれるわけはなかった。


「今日はどこにも行かねぇ」

「……え」


唇を離し、上になっているわたしは龍成を見下ろしている。

でもその距離は近すぎて、鼻と鼻は触れ合ったまま。


「名義変更は今度の休みでいい。新婚旅行の為の休みは二人でいちゃついてないと意味ないだろ」

「……約束したのに」

「だって華乃ちゃん、俺から離れたくないだろ?」
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