離婚前提策略婚。─続編─【改訂版】
普通、入社する気があるなら俺相手にここまで横暴な態度にならないだろ。


てことはやっぱり俺が気にくわないのか。入社する気はなさそうだな。

手っ取り早く退散した方が……いや、俺次第って言ってんだからもう少し粘ってみるか。

とりあえず、下手に出ておくしかねぇな。


吐き出そうなため息を押し込み、手にしていたビールを口に含むも、やたら不味く感じた。

そんな俺とは真逆に、五十嵐は飲むペースを上げる。


「僕のことは週刊誌を見てご存知だったんですか?」

「ん?ああ、そうっすね。俺が社会人になりたての時に会社にあった週刊誌を見て知った。それから、神田龍成がどんな奴なのか気になってたってとこっすね」

「そうでしたか」

「週刊誌の写真よりいい男っすね」

「そ、それはそれはありがとうございます」


くそ、嬉しくねぇな。顔が引きつるわ。


「その顔じゃあれだけ遊んでたのも納得だな。マジでなんで入社したんすか?」

「……もう年齢も年齢ですし」

「まだ若いでしょ。いくつ?」
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