離婚前提策略婚。─続編─【改訂版】
「宮間が酔っ払う前にな」

「あはは」

「ぐっ……。返す言葉が見つからないわ」

「いいからタクシー乗れよ。桜庭さんを送ったあと宮間も送ってやるから」

「わたしは別に……でも華乃が心配だから一緒に行くか。新が狼にならないように見張らなきゃ」

「あほか」


近くに停まっていたタクシーに乗り込む。新くんは助手席に。わたしとひかりは後部座席に。


「華乃からだよ。住所言いな」

「あ、えっと……」


実家……じゃなくマンションに帰りたいな。


やっぱり龍成に会いたい。帰ってくるかわからないけど、今日はどうしても龍成に会いたい。

ひかりもだいぶ酔いが冷めてるし、部屋まで送ってくれるはず。


「華乃?」

「…榴ヶ岡二丁目までお願いします。ひかり、部屋まで送ってくれないかな」

「ん、わかった」


マンションへ向かう車中、三人で高校時代の話を軽くしながら、運転手さんも混ざって和気あいあいとしていた。


ところがもうすぐ到着するというところで、ひかりが静かなことに気づく。
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