離婚前提策略婚。─続編─【改訂版】
「それで感想は?」

「感想?」

「赤ちゃんと初めましてしたでしょ」

「…ああ」


さっきは妙に緊張して、ちゃんと対面する余裕がなかったんだよな。


感想もなにも、心の準備が間に合ってなかったらしい。


「なによその反応。もう一回抱っこしたら?」


立ち上がり、華乃はベビーベッドから子供を抱き上げ、また俺に差し出した。


「俺、抱き方よくわかんねぇんだよ」


この世で一番の壊れ物を手にしている気分だ。

実際そうだろう。

これほどまでに壊れやすく重いものなんて、他にはないはずだ。


「さっきできてたよ。首がすわってないから、そこ注意して。もっと力抜いてよ。パパ、緊張してるの?」

「お前は産んだばっかでもう慣れてんのかよ。これでいいのか?」

「うん。……ぷ。龍成に赤ちゃんって、なんか似合わない」

「何言ってやがる。今流行ってるイクメンだろ」

「はいはい」

「おい」

「ね、目と鼻は龍成に似てない?」

「こんな小さくてそんなんわかるか」
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