離婚前提策略婚。─続編─【改訂版】
「気持ちだけで充分です」

「なんだと?」

「ぷ。……こんな小さいのに、ちゃんと重いでしょ」

「……そうだな」

「命の重さだよ」


──命の、重さ。


「……小さくても、しっかり生きてんだよな」


こいつの重さを確かめる度、俺の責任感も重くのしかかっていく。


親になるという自覚はあったはずなのに、これまでと比較できないほど、その感覚は現実味を帯びていく。


「わたし達がこの子を幸せにしなきゃいけないんだよ」


そう言った華乃は、すでに母親の顔をしていた。


「ばーか。こいつも華乃も、俺が俺の手で必ず幸せにしてやる」

「ばーか。わたしはとっくに幸せだよ」

「もっとだよ」

「今、自分史上最高に幸せですよ。めちゃくちゃ可愛い子、産んじゃったからね」
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