離婚前提策略婚。─続編─【改訂版】
と、そこまで言うと華乃はテーブルに突っ伏して動かなくなった。


「ここで落ちるってどんだけだよ」


笑うしかない状況に頬杖をついて軽くため息をつく。


悲しんでいる割には微笑んでいる華乃の寝顔。

その無防備な寝顔を見つめ、そっと髪に触れる。


「そりゃ妬くっつーの」


華乃に男の心配はいらないだろうと安心しきっていた。

俺に対する華乃の気持ちが揺るがないものだとわかっていたし、華乃が他の男になびかない自信だってがっつりあった。


──それなのに。


俺は今、完全に妬いている。


自分で自覚できるほど。


今までは女が好むと思い、妬いているふりをすることはあった。

実際そんなに興味がなくても、妬いているふりをすればそれだけ俺に好かれていると女は思える。


そこまでを見据えての嫉妬だったのに、華乃に対する今の感情は、紛れもなく本気の嫉妬だ。

とりあえずイラつく。とにかく不快。


こんなの初めてだ。行き場のない感情が、ただ自分の中で渦巻いている。
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