離婚前提策略婚。─続編─【改訂版】
華乃の髪に触れ、この感情をどうにか愛しさに変えようと努力してみる。

いい歳こいて男が嫉妬だなんて、ダサすぎだろ俺。なんて言い聞かせながら。


にしてもあいつ、一体何の用だよ。しつこいにも程があるだろ。

まさかまだ華乃に気があるとか?……まさかだろ。


「りゅーせー…」


目を閉じたまま、華乃が小さく声を発した。


「なんだ、起きてんのか?」

「わたし……離婚…届……なん…て、書きたくない…」

「──は?」


離婚届?


「…もう…二度と……書きたく…ないの…」

「──」


消え入るような声で聞いた華乃の言葉。

今にも泣きそうな表情。


夢の中なのだろうか。でも俺には、それが華乃の本心に聞こえた。
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