離婚前提策略婚。─続編─【改訂版】
「勘違いすんな。華乃を幸せにできるのは俺、神田龍成ただ一人。お前の出る幕じゃねぇんだよ。つーかどの面下げて来てんだよ。いいか、華乃に二度と近づくな。お前の存在自体が無性にイラつく」

「──っ」


そう言い捨て運転席に乗る龍成。つられるように、わたしも助手席に乗り込む。


崇憲をその場に残し、龍成の運転で車が発進する。


…って、流れに身をまかせてしまったけれど、なんで龍成が運転してんの?


いや、問題はそこじゃないでしょう。


なんか久しぶりの再会なのに感動とかセンチメンタルとか、そういった空気が微塵もない。

それどころか気まずさを感じてしまうのだけれど、何から言い出せばいいかわからない。

後ろめたいことなんて何もしていないのに、どうして悪いことをした気分なんだろう…。


「…胸くそわりぃ」

「…え?」


小さく呟いた龍成の言葉があまりにも汚くて耳を疑う。


龍成の口が悪いのは今に始まったことじゃないけれど。
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