離婚前提策略婚。─続編─【改訂版】
「…わたしの為に死にかけて仕事をする意味がわからない」

「はぁ。華乃ちゃんはどこまでも馬鹿ですね。お前と結婚できなきゃ仕事なんてハナからしてないっつーの」

「──」


そ、そうなの?


「それに確かに俺は今まで遊んできたけど、女に本気になったことは一度もない。感情もなくただ遊んでただけだ。そんなくだらねぇ過去なんて気にする価値もねぇだろ」

「お…女に本気になったことがないってことは、わたしのことも」

「あほか!ふざけんなこの馬鹿女!」

「なっ、なによ、そんな言い方…」

「いいか、よく聞け。こんな恥ずかしいことは二度と言わない」

「…はあ。」


なんだろう、改まられると緊張する。


「俺にとってお前はなにもかも初めての女だ」

「──。」

「どんなにたくさんの経験をしてきても、感情がなきゃ何にも残らない。つまりなかったことと同じだ。愛があるお前とすること全てが、初めての経験になるんだ」

「わたしとすること全て、龍成には初めての経験…」
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