『kiss me...。』
「優は俺にどんな仕事をしていてほしい?」
「え?」
幹斗はお皿にパスタを
盛り付けながら言った。
「ホスト以外なんでもいい・・・」
「は?ホスト??」
あたしが大きくうなずくと
幹斗は声を出して笑った。
「俺がホストに見えるか?」
笑いすぎて
涙が出てる・・・。
なんだよっ・・・・・
「残念ながらホストみたいなエスコートは得意じゃない。」
「じゃ何やってるの?」
あたしがもう一度
聞くと幹斗はまた
黙って、食べるか。
と話をそらした。きっと何か隠してる・・・。
あたしに言えない仕事って何?
幹斗に言われて仕方なく食べ始めた・・・。
幹斗が作った
パスタはゆで加減も
ソースの味も完璧で
まるで高級レストランのような
感じだった。
「おいしかった~。」
「昔、キッチンで働いてたから。」
「そーなんだ。」
どうりでおいしい訳だ・・・。
「どうして仕事の事、教えてくれないの?」
片付けをしていた
幹斗の手が止まった・・・。
「優こそ仕事の事、聞いてどうする?」
いつも幹斗じゃなかった・・・。
ひどく冷めた声だった。
でもその瞳はどこか悲しさを
映し出していた・・・。
幹斗があたしに隠してるのは
仕事の事なんかじゃない・・・。
きっと過去になにかあったんだ。
あたしはそれ以上なにも
聞けなかった・・・。
「ごめん・・・」
「優は悪くない。」
そう言うとあたし達は
キスをした・・・。
切ないキス・・・。