『kiss me...。』
しばらく走ったら
林みたいな所があった・・・。
走ったから汗が出てきたし
暑かったので
そこの日陰で休むことにした・・・。
ケイタイを出して
アドレスを開く・・・
さっきのイラつきはだいぶ
おさまってきた。
プルルッルーーーーーー
呼び出し音が鳴る・・・。
プルルルルルルーーーーーーーーー
永遠に鳴り続ける。
あたしは諦めて切った・・・。
「幹斗は仕事で忙しいんだよ~・・・」
分かってた・・・。
幹斗が電話に出れない事なんて。
分かってた・・・。
幹斗はあたしより
仕事が大切だなんて。
「はぁ・・・」
ため息をついたら
自然と涙がこぼれた・・・。
一度頬を伝った涙は
止まらなくて
いつまでもそこから
動けなかった・・・。
会いたいだけなのに・・・
ただ会いたいだけなのに・・・
涙が止まらなくて
ただ、ぎゅうってケイタイ握り締めた・・・。
気づくといつの間にか
夕方だった・・・。
「あ、帰らなきゃ・・・」
あたしは立ち上がったが
足を止めた・・・。
「ここどこ?」
そうあてもなく走ったから
ここがどこなのか
分からなくなってしまっていた・・・。
「へたこいた・・・。」
あたしはまるで
捨て猫みたいに
さっき座ってた場所にしゃがんだ・・・。
もう帰れない・・・。
幹斗に会えない・・・
そんな絶望があたしを
襲ってきてまた
涙を流した・・・。
帰りたい・・・
お母さんは今日は夜勤だから
もう家を出てていないし
幹斗もまだ仕事中・・・
アヤカにはウソついて
早退したから
会うのは気まずい・・・・・・・・
とりあえず
歩く事にした。