『kiss me...。』
気まずい空気の中
車はどこかの駐車場に着いた。


「どこ・・・?」


幹斗の顔色を伺いながら
聞く・・・


「俺の家があるマンション。」


そう言うと幹斗は
ドアを開けて降りていってしまった。
急いであたしも後を追う。


いつもなら
手を握って一緒のペースで
歩いてくれていたけど、今は一人でズカズカと歩いていってしまう・・・。
こっちも見てくれない。
でもエレベーターだけは
ドアが閉まらないように手で押さえてくれた。
エレベーターが幹斗の部屋がある階に着いた。
ドアが開くと幹斗はあたしの腕を強く掴んだ・・・。


「痛い・・・。」


あたしが思わずつぶやくと
幹斗の手の力が少し緩んだ。
だけど、しっかりと掴んでいる。
部屋の前に着くと慣れた手つきで鍵をあけて
中にあたしを入れた。
あたしが中に入った瞬間、幹斗はあたしをドアに押さえつけて
キスをしてきた・・・。


「ん・・・。」


激しいキス・・・。
まるで苛立ちを消そうと
するみたいだった・・・。

両手を頭の上で押さえられ
あたしは身動きができない状態でキスをされていた。

そして、そのまま幹斗はあたしを抱いた・・・。
いつもなら
耳元で優しく名前を呼んでくれるのに
呼んでくれない・・・。

自分が悪いと分かっていた。
だから何も言わないで
幹斗の好きなようにさせた・・・。

でもやっぱり寂しくて、悲しくて
終わった後
涙を流してしまった。

自分が悪いのは知ってるくせに・・・。
あたしは自分の事が精一杯で幹斗の事を
本当に考えていなかった・・・。

後悔した・・・。


終わったあと
幹斗はさっきとは打って変わって
優しくあたしの頭を撫でると悲しそうな顔をして
ごめん・・・そうつぶやいた。
あたしも涙をながしながら謝った。

そして
優しいキス・・・。


あたしは思わず
幹斗の頭をかかえるように
抱きしめた・・・。
幹斗が一筋の涙を流した・・・。

二人は、ずっと手を繋いで眠った・・・。
今、この手を離したら
このまま二人は終わってしまいそうな気がして
あたしは怖かった。
幹斗を失いたくなかった・・・。
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