『kiss me...。』


「よしッ帰るか。」


ケイタイを見ると
もう6時すぎだった・・・。
帰らなきゃいけないけど
帰りたくない。


「帰りたくない・・・。」


「ワガママ言うな。俺だって帰したくない。」


「お母さんに聞いてみる。」



一回閉じたケイタイを
あけてお母さんに連絡しようとした。


「優。」


幹斗に呼ばれて
手の動きを止める。
見ると少し怒った顔・・・
でも優しくて寂しそうな顔・・・



「ダメだ。帰るぞ。」


「分かった・・・。」


泣く泣く幹斗の言う事を聞いた。
帰りの車の中
あたし達はずっと手をつないで
帰った。
家に着いたのは
8時すぎだった。



「じゃあな。ちゃんと寝ろよ。」


あたしはこの時間が
一番キライ・・・。


「うん・・・。」


「たくっ・・・そんな顔すんな。」



そう言うと幹斗はあたしのおでこに
軽くキスをしてくれた。


「おやすみ。」


「今日はありがとう。おやすみ・・・。」


幹斗は優しく微笑むと
帰っていった。


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