『kiss me...。』


ガチャ


ゆっくりと重いドアを
開ける・・・。


「おかえり。ちょっと遅いよ?」


「ごめん。気をつける。」


「まだ高校生なんだからさ。」


お母さんはそれだけ言うと
自分の部屋に入っていた。
夕飯をまだ食べていなかったので
冷蔵庫をあけて
何かないか探した。

とりあえず食パンを
トーストに入れて焼いた。
3分ほどすると
香ばしい香りと同時に
パンは焼けた。

一人で
ダイニングテーブルに座り
パンを食べた。


「幹斗に会いたい・・・。」


さっき会ったばかりなのに
もう会いたいと思う
弱い自分がいた・・・。

あたしは最近
弱い・・・。
自分でもイヤになるほどに。


パンを食べ終わって
お皿を洗うと
自分の部屋に戻った。

ベットにうつ伏せに倒れこむと
なぜか
涙が出てきた・・・。

あたしはこれ以上
弱くなりたくない・・・。

幹斗だってこんなに
弱いあたしなんか
キライになるに決まってる。

誰もそんな事言ってないのに
誰かが言ったみたいに
そう思って
声を押し殺して泣いた・・・。







そして
決心した。






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