10年愛してくれた君へ


---翌日。黒山に頼まれていた書類を届けに職員室に向かっていた私。


すると、前から高橋さんが歩いてくるのが見えた。


あの遊園地以来、学校で顔を合わせても無視されていたから、また今日もか…と思いながら、真っ直ぐ前を向いて足を進める。


高橋さんはゆっくりと立ち止まり、私を見た。


え、もしかしてまた宣戦布告!?


そう思い、私も彼女に合わせるように足を止めたのだが…




「お姉ちゃん…」


「お姉ちゃん?」



高橋さんが見ていたのは、私ではない。


私の後ろにいるであろう、その"お姉ちゃん"。



振り返ると、そこにいたのは…



「あら、ひとみじゃない」


南さんだった。


「え!?あれ…え!?」


訳が分からなくなり、部外者ではあるが、高橋さんと南さんの顔を交互に見る。


この二人、姉妹なの!?


「鵜崎先輩、もしかしてお姉ちゃんのクラスですか?」


高橋さんの視線はいつの間にか南さんから私の方へと向けられていた。


ん?高橋さん?


そう言えば、南さんの名字って…



「あら、鵜崎さんって、ひとみと知り合いなの?私の妹、高橋ひとみ」


「私のお姉ちゃん、高橋南」


何ということでしょう。


私はとんでもない姉妹と顔見知りになってしまったようだ。
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