10年愛してくれた君へ

結局この日は何もやる気が起きず、ご飯を食べてお風呂に入ってすぐにベッドに入った。


春兄、もう帰ってるかな?なんて考えていたら、なかなか寝付けなくて。


瞼は重たいけれど、脳が起きている状態っていうのかな。



無理やり寝ようとしても逆効果だということを今まで身をもって経験している私は、仕方なく体を起こした。


居ても立っても居られなくなり、携帯を開く。


この時間に電話はさすがに迷惑だろうから、メッセージを送ることにした。


【春兄まだ起きてる?】


体育座りをしながら返事を待つが、なかなか来ない。


寝ちゃった…かな?


そうだよね、もう寝ていてもいい時間だ。


そんな時に連絡なんて、失礼なことしちゃって。


そもそも、『起きてる』って返事が来たところで、どう話を繋げるのか一切考えていなかった。


『どこに行ってたの?』って聞く?


『また付き合い始めたの?』って聞く?



私にそんなこと聞く権利…ある?


ただの幼馴染なのに、縛っているみたいだ。


余計に春兄に負担を掛けてしまうことになる。



それは絶対に嫌だ。




再び睡魔が襲って来るまでずっと待ったが、携帯が鳴ることはなかった。
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