10年愛してくれた君へ
次の日春兄は、勉強を教えに私の家にやって来た。
「ごめんね、土曜なのに」
「今日は予定はなかったから、全然大丈夫だよ。それより昨日のメッセージ返せなくて、それこそごめん。何かあったのか?」
改めてこうして聞かれると、焦りの気持ちであんなメッセージを送ってしまったことを少し後悔した。
春兄だって付き合いはあるんだ。私が詮索することないし、もちろんその権利だってない。
「ううん!眠れなかったから、相手してもらおうかな〜なんて…あはは、ごめんね」
「そっか。珍しいな、そういう理由で連絡してくるの」
しかし、モヤモヤした気持ちを拭い去ることをできず、遠回しに聞いた。
「昨日ってさ、春兄何してた?」
「昨日?昨日は友達と会ってたけど」
「…そっか」
友達…か。
そう言われると私も何も言えなくなる。
何かを隠しているのか、単に友達として会っただけなのか。
「どうかしたか?」
優しく問いかける春兄。
だけど、今はその優しさに胸がえぐられるような感覚になる。
そもそも、春兄が南さんを学校まで迎えに行ったってことは、南さんが私の学校で教育実習をしていると知っていたんだ。
その事に触れてくることはなかった。
やっぱり私に南さんとのことは深入りしてほしくなかったのか。