10年愛してくれた君へ
あれから何日経っただろう。
藍と会わず、連絡も取らない日が続くと、1週間、いや、1日すらとても長く感じる。
ふとカレンダーに目をやると、もうすぐ藍の誕生日。毎年藍に欲しいものをプレゼントしていた。だから今年も…と思ったが、連絡が取りづらい。
もしかしたら俺は、あの時藍に嫌われてしまったのかもしれない。
あれから返事が未だになく、そう悪い方向へと考えてしまう。
毎年してきたことをぱったりとやめてしまったいいのか?
藍の誕生日を祝いたいのはやまやまだが、嫌がられてしまったらどうしよう。
考えに考え抜いた末、今年はこっそりとプレゼントを用意することに決めた。
卒論の準備やら何やらでゆっくり買い物に行く時間がないため、プレゼントは藍の誕生日当日に買いに行くことにした。
買ってそのまま藍に渡しに行こう。どんな顔をされるか、少し不安要素もあるけれど。
そして俺は、ふと"あること"を思いついた。
それは、藍への手紙を書くことだった。
今現在、俺と藍の間には微妙な距離感がある。今までに感じたことのない距離感だ。
もし、このまま藍の"お兄ちゃん"でいることすらできなくなったら…想像すると怖くなった。
彼氏がいる藍に拒絶をされたような状態の今、崖の淵に立っているのと変わらない今、藍と繋がっているのは一本の細い糸。
少しでも力を入れると、プツンと切れてしまいそうな糸だ。
だからこそ、自分の動くタイミングが"今"だと思った。
手紙で気持ちを伝えよう。
そして、一度リセットしよう。
いつの日か藍が俺に言ってくれた、『自分の気持ちを大事にしていい』という言葉。
藍が俺にくれた言葉を胸に、便箋を並べた。