10年愛してくれた君へ
14.10年愛してくれた君へ
あれからどれだけの時間が経ったのだろう。
無思考の状態で春兄の手紙をずっと眺めていた。
いつの間にか涙も枯れ果て、身体は疲れ切っている。
ふと時計に目をやると、日付け変わって午前3時。
眠気も無いし、寝たいとも思わなかった。
あと約3時間もすれば、いつもなら目覚めている時間。
学校…行きたくないな。
-----…
結局一睡もせずに朝を迎えた。
学校へ行く準備もせず、ただひたすらベッドの上で蹲っている。
しばらくすると、充希から電話が掛かってきた。
『あんた遅刻?しっかりしなさいよね受験生』
「ごめん…今日休むわ」
『え、具合でも悪いの?』
春兄のこと、告げるべきか…
危険な状態であることに変わりはない。
今は涙が引いて無感情の私でも、春兄のことを話したらまた泣いてしまうかもしれない。
告げるのが…怖い。
「うん、ちょっとね。だから今日は休む。じゃあね」
『あ、ちょっと藍っ』
辛くなり、一方的に電話を切ってしまった。
ごめん、充希…
その後充希から何度か電話が掛かってきた。
そして河西くんからも。
心配してくれる友達を放っておいていいの?
今までたくさん支えてきてくれた、大切な友達を。
でも…自分がどうなってしまうのか分からない。
春兄が目を覚ましたらみんなに話そう。
そして、一緒にお見舞いに行くんだ。
だからごめん、もう少しだけ時間を下さい。