10年愛してくれた君へ


***


新学期恒例の校長の長いお話しや、謎のプリント配り、そして自己紹介などを終え、学校を出た。


「それにしても、またあの黒山が担任とはね」


充希の言う黒山とは、昨年私たちの担任をしていた色黒の熱血教師。


体育の先生で、野球部の顧問をしている黒山は、暑苦しいのなんのって。


そんな暑苦しさに生徒たちからはうっとうしがられるも、人望も厚い。


あ、別に”暑い”と”厚い”をかけたわけじゃなくてね?



「でも知ってる先生でよかったよね」


「いーや、今年受験生の私たちだよ?今まで以上に暑苦しくなりそう」


あー、それは言えてる。











「そんじゃ、また明日ね」


「うん、バイバイ」



充希とは地元が同じだから途中まで一緒に帰る。


コンビニと本屋が立ち並ぶ十字路が私たちの別れ場所だ。
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