10年愛してくれた君へ
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新学期恒例の校長の長いお話しや、謎のプリント配り、そして自己紹介などを終え、学校を出た。
「それにしても、またあの黒山が担任とはね」
充希の言う黒山とは、昨年私たちの担任をしていた色黒の熱血教師。
体育の先生で、野球部の顧問をしている黒山は、暑苦しいのなんのって。
そんな暑苦しさに生徒たちからはうっとうしがられるも、人望も厚い。
あ、別に”暑い”と”厚い”をかけたわけじゃなくてね?
「でも知ってる先生でよかったよね」
「いーや、今年受験生の私たちだよ?今まで以上に暑苦しくなりそう」
あー、それは言えてる。
「そんじゃ、また明日ね」
「うん、バイバイ」
充希とは地元が同じだから途中まで一緒に帰る。
コンビニと本屋が立ち並ぶ十字路が私たちの別れ場所だ。