10年愛してくれた君へ
そして迎えた内定祝い当日。我が家に春兄とご家族が集まった。春兄ママはよく顔を合わせるけれど、春兄パパは平日仕事が夜遅くまであるし、土日は趣味に出かけてしまうため、こうしてゆっくりと同じ時間を過ごすのはかなり久々。
「お父さん今日遅いんだよね?せっかくの春兄の内定祝いなのに」
時計を見ながら言う。確か接待があるって今朝言っていた。
「会社付き合いも大事だからな」
ムッとする私に優しく言う春兄。
「春兄も社会人になったら大変になるね」
「でも春人くんならエリートコースまっしぐらね!」
すると、春兄のお母さんが口を開く。
「仕事ばかりじゃなくて、早めに結婚もしてほしいわね~ね、お父さん?」
「そうだな、男は家庭を持つと、仕事の大切さも身に染みて分かるようになるからな」
結婚か...春兄が結婚。
想像してみた。
奥さんの顔は見えないけれど、子どもを抱えながら笑顔の春兄。きっと優しいお父さんになるんだろうなぁ。
春兄の将来の奥さんは、誰なのだろう。
そんなことを春兄の顔をぼーっと見ながら考えていた。